2015.06.4
日常生活を送る中で、全く意識することはないと思いますが、私たちは、認識の主体(脳・五感覚)、客体(存在・現象)、媒体(光・メディア)といった3つの要素によって現実(認識画面)が成り立っています。
そして、その条件が変わることで、現実が変わっていきます。
目次
3つの要素の条件が変化することで現実が変わるだなんて言われても、いまいちピンと思いますので、ひとつの実験をしてみたいと思います。
まずは次の図をしばらく眺めてみてください。
(画像:http://www2.kanazawa-it.ac.jp/higuael/illusion.htmlより)
しばらく眺めていると、この図が動いているように見えないでしょうか?
実際にはこれは静止画ですので、事実は「静止している図」なのですが、自分の認識している画面では「動いている図」に見えるはずです。
なぜ、このような現象が起きるのでしょうか?
この錯視絵の場合は、理由が「認識の主体」である脳と五感覚にあります。
人間の脳には、五感覚から毎秒1100万ビットもの情報がインプットされていますが、その殆どは無意識で処理をされ、意識に上がってくるのは約16~50ビットだと人間生理学の教科書に記載されています。
視覚に注目してみると、目は1秒あたり何回か、ごくわずかに向きを変えています。
その小刻みな運動をマイクロサッカードといいますが、これは人体が行うもっとも速い運動であり、特別な装置を使わないと観察できません。眼球をコントロールする6つの筋肉は、合計で1日10万回ほど運動しており、これは心拍の回数に匹敵します。
この微細な動きは意識に上ってくることがありませんが、じっと絵を見つめているつもりでも、眼球の微細な運動の結果、静止画が動いているように錯覚してしまうのです。
客体(存在・現象)の変化については、人は慣れており、目の前のリンゴからバナナに視線を移せば、リンゴではなくバナナを認識するように、認識する対象(客体)を変えれば認識の画面が変わるということは、日常で誰もが実感していることです。
しかし、自分が認識している画面に、自分自身の脳や五感覚が影響を与えているということを自覚することは殆どない為、意外と見落としがちなのが、認識主体の条件です。
昔話にはこんな逸話もあります。
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戦国時代に、ある殿様が家臣に「この世で一番美味い料理を食わせろ」と命令しました。
その家臣は「承知いたしました」と請け負い、殿様にまる一日かけて畑仕事をさせました。
「のう、昼飯はまだか?」
と聞かれても
「必ず、この世で一番美味い料理を食べさせますので」
と、お昼も出さず、一日ずっと運動をさせたのです。
日が暮れる頃に
「いい加減、その料理を出さんか!」
と怒られて、おにぎりをひとつ差し出したところ、
「お主はふざけておるのか?!世は、この世で一番美味い料理だと言ったはずじゃぞ!」
と怒鳴られます。
しかし家臣は動じることなく
「それは食べてみてからご判断ください」
と返すので、殿様は不機嫌そうな顔をしながら差し出されたおにぎりを一口、口にしました。
「う、うまい!」
「そうでございましょう。汗水流した後の飯が、この世で一番美味い料理にございます」
それから殿様は食事の前に運動をされるようになりましたとさ。
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この物語の核心は、認識する対象の料理ではなく、認識する主体である殿様自信の身体の条件が変化して、認識画面が変わったという点にあります。
つまり、「腹を空かせた」ので「この世で一番美味い」と感じたということです。
この主体の条件と同じぐらい、普段は意識しない要素が媒体の条件です。
認識する主体、認識される客体の間をつなぐのは、認識させる媒体(光・メディア)です。
太陽の光で見る風景と月の光で見る風景が違うように、可視光線が赤外線やX線になれば、映し出される画面も変わります。
情報を伝えるメディアが違えば、同じ事件も違う観点から報道されるように、社内の噂も誰が媒体となって伝え聞くかで、その内容が変化してくるものなのです。
例としては、3.11震災時に率直なコメントをしたタレントは、東電がスポンサーをする局から降板させられました。彼らは関西テレビの「たかじんの、何でも言って委員会」に出演し、言いたいことを伝え続けましたが、東京に住む我々にはその情報は届いていません。
海外のマスコミが報じた日本人の礼儀正しさ、震災後の振る舞いなど、報道するメディアによって何を伝えるか?の判断基準が違ってきます。
媒体(メディア・光など)の条件が変化すると、我々が認識する事実(と思わされている情報)も変わってくるのです。
このように、認識する主体、認識させる媒体の条件が変わることで、認識する客体である、現実(認識画面)は変化しています。みなさんが「現実」だと思っている事象も、三体条件が変わると違う側面が浮かび上がってくるかも知れません。
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