従業員数50名~150名で経験すること

2021.06.2

ダンバー数150人が組織づくりの壁

インタビュアー:従業員が50人を超えて、その次は何人ぐらいで大きな壁があるんでしょうか?

石山:ダンバー数と呼ばれる150です。「ダンバー数」というのはお互いをよく知ることができる上限値という意味で、イギリスの人類学者であるロビン・ダンバーという人物が、人類の歴史上の色々な集団を調べ上げた結果、最も密に協力し合える集団の上限が150人であるという発見をされたんです。

実際、人間に最も近いチンパンジーが形成する集団って最大で150頭ぐらいなんですよ。進化をさかのぼると、ボノボは100頭で、ゴリラになると30頭が集団形成の最大値というように、進化と共につくれる集団の数というのが増えてきています。人間の場合も、150人ぐらいまでは顔と名前が一致するものですが、これが200人を超えて300人以上になると、もう社内に誰がいるのか、顔と名前や役割が一致しづらくなってきます。なので、組織が150名を超えると効率性とか生産性が下がり始めるという傾向があります。

成長組織によくある事件トップ3

インタビュアー:組織が拡大して50人から150人になるまでの間では、どんなトラブルがありますか?

石山:起きがちな事件トップ3の1つ目が、50人を超えた頃に、人事制度が欲しいという要望が社員から出るようになります。この規模だとまだ社長が給料を決めていることが多いんですけど、50名を超える規模の組織は『社長・部長・課長・社員』の4階層となっているので、社員の視点から見ると『社長は上司の上司の上司なので自分の仕事なんか見ていないし、把握していない。なのに、どうやって評価するの?何を評価されているの?給料が決まるプロセスが納得いかない』という不満が出始めます。なので、3階層を超えて4階層に入ってくると、制度とか給与の納得感という面で人事制度をつくって欲しい、という要望が社員から出るようになります。

創業メンバーが辞めていく

2つ目は、一緒に会社を立ち上げたコアなメンバーが辞めていくという現象です。50人から150人に組織が拡大していくときには、優秀な管理職が入ってきますよね。途中で入ってきた転職組の方が仕事ができるものだから、一緒に立ち上げた自分は会社のNo.2やNo.3だと思っていたのに、実際には転職組が自分の上司になることもあるんです。

そうすると、No.2だと思っていたのにNo.3になり、No.4になり、NO.5、6、7と下がっていく体験をするので、社長と距離ができて、何かもう一緒にやっていけないなとドロップアウトしてしまうということがあります。また、社長のやりたいことが形になっていく中で、No.2が他にやりたいことが出てきてしまった場合は、お互いの進む道が変わったから辞めるというケースもあります。いずれにせよ、近くにいたコアなメンバーが離れていくというのが100人の前に起こりやすい2つ目の事象ですね。

担当者はいるけど戦略がない

3つ目は、採用とか人事とか総務とか経理とか広報とかの間接部門にこの頃はあまり時間と労力が割けないので、少人数で色々なことを兼務して無理くりやっているという現象が起きやすいです。100人前後でありがちなのが「人事はいるけれども人事戦略がない」とか「営業部長はいるけれど営業戦略がない」とか「経理はいるけれど財務戦略がない」など、業務を担うメンバーは揃ってきているけれども中長期の戦略がないという状態です。全社員が目の前の業務に時間を取られていて、中長期的な戦略や計画を創っている暇がない。結果としてビジョンや未来が見えていないので「この会社にいても、キャリアが見えません」とか「将来性が分からないので転職します」と言い出す社員が出てきやすい。なので、この時期はきちんと戦略を描いて、社員に対して発信してあげることが必要だと感じます。

一番インパクトの大きな問題

インタビュアー:人事制度と役員との別れ、戦略の不在の3つの中で会社にとって最もインパクトがあるのはどの問題ですか?

石山:やっぱり戦略の不在が1番大きいと思います。50人から80人ぐらいまでは制度や仕組みづくり、80人から150人までは戦略が重要という感じです。組織の成長過程にあって、内部がカオスになりやすいからこそ、このタイミングで外部コンサルを雇って戦略を創って貰おうとする経営者が多いですが、私が見てきた経験からすると外部コンサルに任せるのはNGで、外部から『優秀なファシリテーター』を一人招いて幹部で合宿(オフサイトミーティングなど)をして、ちゃんと自分たちの頭脳と感性を用いて戦略を練るのが一番効果が高いと感じます。現場の感覚やお客様ニーズを把握しているのは、外部コンサルではなく自社の社員や幹部なので、社内に眠る貴重な情報を吸い上げることさえできれば道は見えてきます。

インタビュアー:そんな優秀なファシリテーターは、どこを探せば見つかるのでしょうか?

石山:手前味噌で恐縮ですが、私もたまに経営戦略を練る合宿のファシリテーターをさせて頂くことがあるので、従業員数600名ぐらいまでの規模であれば対応することはできます。ほかにファシリテーターを探される場合は、1)コーチやカウンセラーなど深い質問ができる方で、2)自身も経営者か幹部として事業を拡大した経験を持ち、3)関係性に介入しながら場づくりのできる能力をお持ちの方なら、役員の意見をまとめて戦略として形にしてくれるでしょう。

石山 喜章 ワンネス株式会社 代表取締役

1977年、鳥取県生まれ。埼玉大学&デジハリ卒業後、株式会社IMJ(営業・プロデューサー職)を経て2003年、エッジ株式会社でメディア事業「ライブドア」をゼロから立ち上げ、同社の成長を牽引。ライブドア事件後は求道者として覚者の下で修業を積みながら2社の設立に携わった後、2012年にワンネス(旧社名CCO)を創業。出版した「潜在意識の使い方」は1万部を突破し、トヨタ、三菱電機、ITベンチャーなど先進的企業72社が幹部育成を依頼。ひとり1人の『魂の成長』を支援している。

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