2021.06.1
こんにちは、石山喜章です。今回は組織開発についてお話ししたいと思います。
「人材開発」と言う言葉はよく聞きますが、「組織開発」はあまり聞き慣れないという方も多いでしょう。
組織開発とは具体的にどういった意味なのか?具体的にどう取り組んでいけばいいのか?今回は、そのあたりを深掘りしていきたいと思います。
組織開発(Organization Development:略称OD)とは、「組織を成長させる改善プロセス」全般を指します。一般的には、次のようなプロセスで組織全体を成長させることを意味しています。
1.組織が抱えている問題を分析する
2.解決すべき課題と原因を特定する
3.当事者達が改善提案し、実行していく
4.組織に必要な制度を整える
組織開発プロセスを通じて、ファシリテーター役がリードして「社員全員で話し合える場」を設けたり、幹部社員だけを集めた「オフサイトミーティング」を実施するケースもあります。
ワークショップ形式で議論を重ねて組織全体の意思決定を計っていく進め方もあり、業種や規模に応じて様々な組織開発のやり方が存在します。
人材開発が「個人の成長」に焦点を当てているのに対し、組織開発では「組織の成長」、つまり人と人との”関係性”に焦点を当てています。人材開発は個人の能力を引き出すものですが、組織開発では「関係性の質」を高めて組織力を向上させる狙いがあります。
では、組織開発を進めたい場合、どのように取り組めば良いのでしょうか?
組織開発を行うにも、従業員が50名のスタートアップと300名のベンチャー企業、2,000名の中堅企業と6万人の大企業では、組織課題やステージも異なります。
ここでは、業種や規模に関係なく共通する本質的な3ステップについてご紹介したいと思います。
組織力の源にあたるのが「存在意義」、その組織の目的です。
形だけの経営理念やビジョンを策定しても、経営者の在り方や言動が伴っていなければ、誰も紙に書かれた理念を体現しようとは思いません。先陣を切って代表自ら行動で示してこそ伝わる「この組織が存在する目的」を明確にすることが第一ステップです。
創業者が代表の会社で従業員数も500名未満なら、社長の意思を元に決めることが多いですが、社長自身に迷いがある場合は、外部コーチやメンターに相談して思考を整理を手伝って貰うのがお薦めです。
二代目社長や社員1,000名程度の組織となると、個人の一存で決めることは少ないので、対話型のワークショップを6回ほど開催し、従業員の意見を集約して決めるケースもあります。集約した想い・要素を材料に、プロのライターを入れてコーポレート・コピーを作成するのがいいでしょう。
従業員数が1万人を超えると全員の意見を集約する手間がかかるので、外部コンサルを入れて市場調査&内部ヒアリングを重ね、数案のクリエイティブ候補を作成してから社員投票で選択するケースもあります。
いずれにせよ、規模の大小と創業年数に関わらず、「組織の設立目的」や「意思」が貫かれている企業は目的の再定義(現代社会に合わせて表現を微修正するだけ)は難しくないでしょう。
理念構築で難儀するのは、「特に考えてなかった」系です。そういう組織が後から目的を見出そうとして、取って付けた目的を掲げても張りぼてにしかならなりません。魂の込められる意義を見つける為には、外部コーチに依頼して内面を深く掘り下げ、無意識に隠れた想いを引き出すことが肝要です。
宗教の組織力が強く、2,000年以上続く理由も「存在意義」にあるので、自分たちの組織が何の為に存在しているのか?を深く、広く考えてみてください。そのアイデンティティーが社員に浸透したとき、いまの10倍の組織力を発揮するようになります。
目的が明確になったら、それに適した組織の形をデザインします。
人体に例えると、水泳選手としてオリンピックの金メダルを目標にする人にとって理想的な体の状態(筋肉の付き方、体脂肪率、握力など)と、ヨガインストラクターとして理想的な体のつくり(柔軟性、体幹、筋力など)は異なります。
これと同じで、組織も目的に沿ったふさわしい形、理想的な組織のイメージをデザインすることが次に大事なポイントです。この設計図を持たないまま経営していると、情報の海におぼれて本質を見失います。
体育会系の営業代理店なのに「ティール組織」などの流行りワードを部分だけ取り入れて失敗したり、創造性が大事なクリエイティブチームなのに相互理解と心理的安全性を軽視する部長が幅を利かせる会社も1つの例です。
車の設計でも建築の設計でも、目的に沿った形というものがあります。それを知らずに情報に踊らされていると不要なものばかり抱える羽目になります。
自分たちの組織の目的を達成するには、いったいどんな形の組織がふさわしいのだろうか?その組織図、体制、関係性、流動性などをイメージしながら、フィットする組織の形をデザインしてみてください。
古来より親しまれてきたゲームに、オセロ、囲碁、将棋、チェスなどがあります。
将棋とチェスは、「どの役割を、どこに配置するか」で勝負を争うゲームですが、戦国時代においても”適材適所”が組織戦の要であったからこそ、多くの武将が将棋の腕を磨きました。
オセロや囲碁に至っては、コマに役割の区別がないため、「どこに置くか」だけにフォーカスしたゲームになっています。それぐらい配置・配属が組織力を左右するのです。
商品・サービスを開発する際にも「市場ポジション」で結果のほとんどが決まりますが、それぐらい「どこに置くか」は組織にとって重要な要素なのです。
古くは、易学や占星術などで吉凶を判断していた時代もありましたが、近代ではひとり1人の個性や特徴をとらえるアセスメント(アンケート形式の性格診断)ツールも普及してきました。加えてクラウドサービスを活用したタレント・マネジメントもあり、社員ひとり1人の能力や役割をより細かく把握できる時代になってきました。
この、人の特性を分析するツールは普及しているのに対し、人材の配置・配属による吉凶や成果の違いを分析するツールは、まだそれほど普及しているとは言えません。
ひょっとしたら、そのうちAIが最適解を導き出すのかも知れませんが、この配置の妙を紐解き人を活かすのが本来の「人事」です。
自社の組織の形において、誰をどこに配置するのか?を探求することが、同じ組織力を持つライバルとの競争に勝つか負けるかを決める最大の要因となってきます。
組織開発を進められる際には、この3点(目的、形、配置)を意識しながら進めてみてください。
当社も「声紋分析アセスメント」という、声から相手の潜在意識を可視化するアセスメントを提供しております。それぞれの個性・特徴・強みなどが6秒で可視化されますので、ご興味のある方はお問い合わせください。
組織開発を進めようとする組織の規模、業態などに応じて、いま何が一番必要か?は変わってきます。
いろいろなケースや方法がありますので、興味のある方は詳細をお問い合わせいただくとして、本質的に大事なことは1.目的の明確化、2.組織の形をデザインする、3.人材を配置することだとお伝えしてきました。
こういった組織開発を進める上で一番重要なのは、リーダーや経営者の意思です。
意思という魂がこもらなければ、ただの形・器で終わってしまい、集まる人の想いや感情は流れ去るだけ。集約して力を発揮することはありません。
その意思は、あなたの内側に眠っていますので、ぜひ内観して引き出してあげてください。
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