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「新型うつ」の社員が増加! 苦悩されるマネージャーの皆さんへ 【原因と対策】

2012.09.27

 

夜、NHKで「職場を襲う”新型うつ”」という番組を見ました。そこでは触れられていませんでしたが、新型うつの原因と対処法は明確にあります。それについて解説したいと思います。

 

新型うつを理解するために

従来型のうつ病は、業務過多やプレッシャーなどに起因する集中力困難・意欲低下・自責型という特徴があるのに対して、

新型うつ病は、性格や考え方などに起因し、他罰型で治りにくい特徴があると言います。

 

番組では社会構造や教育環境に原因を探っていましたが、人間の無意識がどのようなプロセスで形成されるかを理解していれば、その根本原因は明確に説明ができます。

まず理解しなければならないことは「判断基準」の形成過程の違いです。

 

新卒入社20代前半の「判断基準」

今、新卒で入社する20代前半は、物質的に豊かな社会で生きてきたため、マズローの欲求5段階における下層3層(生理欲求・安全欲求・所属欲求)が満たされた状態で生活を送ってきた人が多いです。

 

そのため、彼/彼女らの欲求は4層目の「承認欲求」が最も強く、高校でも大学でも「他人からどう思われるか?どう見られているのか?」をとても気にする傾向が強く、会社に入っても「自分を認めてもらえるかどうか?」という基準から、様々なものごとを判断する傾向にあります。

だから自分の存在を認めてくれない、否定されている(と感じる)相手や存在に対しては、ときに極端な考えを抱き、そういった言動を発するようになります。

自分が受け入れられていないと感じれば、それがどんなに我々の世代から見たら些細なことであっても、当人にとってはとても傷つき、動揺し、自己存在を脅かされると感じれば、防衛本能を働かせた言動~例えば自分を守るためにうつ病を発症させるなど~をとるに至ります。

 

また、家庭・学校において「あれをしてはいけない」「これはやっちゃダメ」など、多くの○×、善悪、好き嫌いを押しつけられて育ったため、特に「問題」に対しては必ず「正解」が存在すると信じ、それは「誰かから教えてもらえるもの」だという思い込みも強くあります。

 

彼らに共通する無自覚な判断基準

彼らには、無自覚に共通する○×や、善悪の判断基準がありますが、それをまとめると次のような感じです。

× 人に迷惑を掛けてはいけない

○ 自分のことは自分でやる

× 自分の存在を否定される

○ 自分のことを認めてくれる、など。

 

30-40代の我々世代が求めるものとの格差

30-40代の我々世代は、体育会系の部活に入れば怒られたり、失敗して泣いたり、頑張って達成感を感じたり、高校~大学の人間関係でもいろいろな幅で喜怒哀楽を感じて育ってきていますが、そんな世代から見れば、ちょっとしたことでヘコんだりうつになったりする今の若い世代は、精神的に弱く、怠けているように見えるかもしれません。

 

一方、新卒入社する世代は、10代の初めにパソコンや携帯が普及し、ゲームやネットを通じて遊ぶ友達や人間関係が当たり前になっています。彼らは、濃い人間関係を経験する機会が少なく、運動会でもみんなが一等賞、学芸会ではみんな白雪姫など、極力「競争」を排除した教育環境の中で育てられ、20代になる頃には不景気&超氷河期で、急にそれまで教わっていたことと逆の世界観を要求されて困惑する人が多くいます。

 

22年間教わってきた正解(○×判断基準)と、社会に出てから求められる正解(○×判断基準)がまったく違えばストレスになり、心は病み、それが身体の症状に出てきます。その症状には最近「新型うつ」という名前が付けられています。

 

当人にとって「当たり前」で「常識」の世界から判断すれば、「誰も自分の心を分かってくれない」「こんなに頑張っているのに認めてもらえない」と感じるのは、ある意味当然なのかもしれません。

世代に関係なく、「怒られるのは当たり前で、努力して何かを成し遂げれば人から認められる」という判断基準を持っている人は、新型うつに罹る傾向は少ないですが、それが当たり前ではない人からすれば、会社はストレスの倉庫であり、自分にとって心地よい居場所ではありません。

マネージャーや事業部長からすれば「なに甘えたこと言ってんだ?」となりますが、我々世代の当たり前(私たちの経験した時代の常識、判断基準)から一方的に判断しては、単に新人を傷つけるだけとなります。

では、どうすれば良いのでしょうか?

 

うつの根本原因と解決策

世代を問わず、うつの人たちは、考えが複雑で整理できないことが根本原因にあります。

自分の考えを整理できない理由は、周囲の人間に自分の存在意義を規定する権利を委譲しているからです。

自分で自分の存在を認めることができず、周囲の人間にどう思われるかどうかで自分の存在意義や価値を規定するために、自己内の判断基準と相手の判断基準が違ったときに、葛藤が生じることになります。

 

この葛藤(ストレス)をなくすためには、まず自分自身の判断基準をゼロ化することが必要になります。そしてさらに、相手の判断基準をゼロ化させることも必要です。

お互いが「ゼロベース思考」で共通の目的に向かい、お互いの判断基準を捨てたり、活かし合ったりすることができるか否か..ストレスを生まないためには、自分も相手も、これまで持っていた判断基準を一旦ゼロにすることがカギになってきます。

それが今の学校教育や家庭に必要な教育であり、これから世界で通用する人材を育成したいと考えている企業にも必要とされる教育です。

自分の判断基準や価値観と、相手のそれとの違いをどう乗り越え、共同作業をするか。どう融合させて新しいものを創造するか。多様な価値観の違いを紛争の種にするのではなく、新しい未来を切り開く武器に替えるために、モノの観方を根本から変化させることを、今の時代が要請していると感じています。

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