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常識が生まれるプロセスとイノベーションを起こすヒント

2015.07.10

常識とは、20歳までに蓄積した偏見のコレクションである

 – – -アルバート・アインシュタイン

常識という言葉ほど、単語から想起するイメージが人によってことなるものはありません。「ふつう」もそうですが、何を普通とするのかの基準は人によって様々です。

常識が生まれるプロセス「判断基準のピラミッド」

この常識というものは、どこから生まれてくるのでしょうか?
それを理解、イメージする為に「判断基準のピラミッド」と呼ばれる6階層モデルを見ていきましょう。

 

この図に示したように下の層が土台になって「常識」がつくられます。

まず人間は、自分が認識した物や存在に名前をつけ、その用途、機能、目的、意味を規定してます。そして存在AとBを比較して、自分との関係性で価値を決めます。

コップであれば、飲み物を入れる器ととらえ、ワイングラスとコーヒーカップを比較して、ワイングラスは1,200円、コーヒーカップは800円などと価値を規定します。

やがて「バカラのワイングラスは高級ワインを飲むときに使うもの」、「湯呑みはお茶を入れるのに使うもの」などといったお約束(約束体系)がつくられ、その約束体系を土台に「湯呑みに珈琲を入れてお客様に出すべきではない」、「ワイングラスにカレーを盛るなんて信じられない」といった、「××だったら○○すべき」という因果論を展開するようになります。

これが常識がつくられるプロセスです。

判断基準が強化され人生や生活に影響を与える

「~~して当然」という意識がさらに強まると、それがやがて法律や道徳・秩序となり、その約束を破ると冷たい目で見られる、罰金を科せられるなど、より強い判断基準となって人生に影響を与えるようになってきます。

この○×判断基準の最終進化系である法律や規則は毎年のように増え、ほとんど減ることがありません。企業の中でも、「残業は月50時間以上してはいけない」「自宅にパソコンを持って帰って仕事をしてはいけない」といったルールが増える一方です。

この判断基準のピラミッドは、より多くの人がその規定や約束、因果論を支持することで上の階層へと進化していきます。

いまではストーカー規制法がありますが、最初にその名前がメディアなどで認知され、やがて「ストーカーはすべきでない」というお約束が世間の常識となり、支持を集め出してからは「ひどいストーカー行為を働く人を規制すべきだ」という因果論が正当化され、やがて法案となりました。

このように多くの人が支持する観念やイメージ体系が国家や時代を動かす法律や世間の常識となり、我々の生活に影響を与えるようになります。

 

イノベーションを起こすヒント

逆に、この規定をくつがえすことがイノベーションになるケースもあります。

傘といえば、雨の日にたたんで持つと周囲を濡らしてしまうのですが、その構造上、外側に水滴がつくので服やカバンが濡れるのは仕方ありません。ところが、UnBRELLA(アンブレラ)という傘は、骨と布の位置が逆転した構造で、傘をたたむと濡れた面が内側にくるため、周囲を濡らすことがありません。

「傘とはこういうもの」という規定を疑ってかかる発想が、まったく新しい商品を生みだすのです。

このように、経営者やイノベーターは本質を洞察する力を持っています。その本質を図示化したモデルのひとつが「判断基準のピラミッド」です。

これを使えば、あなたも世界初のイノベーションを起こせるかも知れません。

 

そもそも目の前に物や存在は存在しているのか?

最後に、常識を覆し真実の扉を開くための重要なヒントです。

本当に、あなたの目の前に見えている物や存在は存在しているのでしょうか?
あなたの目の前にある現実は、ありのままでしょうか?
それともあなたの潜在意識を投影した世界なのでしょうか?

このピラミッドの最下層(底辺)に横たわる、誰も疑いもしない「当然」を疑ってみたときに、真実への扉が開かれます。

存在論の再規定については量子力学に、潜在意識の投影に関しては拙著内「プロジェクターの法則」に記載がありますので、よかったら参考にしてみてください。

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