タクシー運転手の不思議な質問

2021.04.12

「怖い」と感じてしまった理由とは?

ある日の午後、新橋からタクシー乗ったときのことです。

私は運転手さんから突然、「お昼はどこで食べましたか?」と質問されました。

いきなりのことに「?」と思いながらも答えると、更に「お昼代はいくらぐらいでしたか?」と聞かれたのです。

きっと、みなさんも自分がタクシーに乗って運転手さんから突然「お昼に何を食べていくら使ったか」と聞かれたら「なんで?」と思いますよね。いきなり、そんなプライベートなところまで踏み込んだ質問をされると、不快に感じたり、「怖い」と思われたりするかもしれません。

私も不思議に思ったので「なんで運転手さん、そんな質問をするんですか?」と尋ねたところ、なんとその運転手さんは1年後に自分のお店を出す予定で、リサーチを兼ねて、毎日、色んなお客さんの話を聞いていたのです。

その瞬間、見える世界が変わりました。そこまで聞けば、ようやく「なるほど」と納得することができます。

アイデンティティーをどう認識するか

この話からもわかるように、私たちは相手のアイデンティティーがわからないと、同時に相手のことも警戒します。この運転手さんの場合は、なぜそのような質問をしてくるのかがわからず、気持ち悪さだけが残ってしまうのです。

なぜなら、私たちは「タクシー運転手さんがお客さんの昼食について詳しく知る必要がある」というイメージを持っていないためです。

しかし、相手のアイデンティティーがわかってくると、質問の意図も理解できます。

自分のお店を出すのなら、色々なエリアの客層の人が、どこでどんなランチを食べてどれくらいの金額を使っているのかという生活の情報は貴重なデータとなります。私は、そんな発想でタクシーの運転手をしながら、開店の準備を着々と進めるこの人のことが面白いなと思い、応援したくなりました。

このケースの場合、相手をどう見るかで、自分が受けるイメージと、そこから生まれるコミュニケーションが全く違ってくるのがわかります。

つまり、相手のアイデンティティーを正しく認識できなければ、そこからイメージのズレが生じ、自分の思い込みのまま相手を拒絶したり、分かったつもりになって偏見で突っ走ってしまい、結果的にいい関係をつくれなくなるということになるのです。

現に、私が運転手さんに質問の意図を尋ねなければ、運転手さんに対するイメージは「不快」「怖い」などと決して良いものではありませんでした。

しかし、否定的なイメージを一旦脇に置いておいて、きちんと理由を尋ねることで運転手さんに対するイメージは一転し、「応援したい」とまで思えるようになりました。

あなたの職場でも、相手のことを「この人はこういう人だ」と思い込み、決めつけてはいないでしょうか?その認識から外れてみたときに、まったく違った風景が見えるかも知れません。

石山 喜章 ワンネス株式会社 代表取締役

1977年、鳥取県生まれ。埼玉大学&デジハリ卒業後、株式会社IMJ(営業・プロデューサー職)を経て2003年、エッジ株式会社でメディア事業「ライブドア」をゼロから立ち上げ、同社の成長を牽引。ライブドア事件後は求道者として覚者の下で修業を積みながら2社の設立に携わった後、2012年にワンネス(旧社名CCO)を創業。出版した「潜在意識の使い方」は1万部を突破し、トヨタ、三菱電機、ITベンチャーなど先進的企業72社が幹部育成を依頼。ひとり1人の『魂の成長』を支援している。

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