2014.09.15
人間は一人で生きていくことはできませんが、「自分のことは自分でやらなければ」という教育を受けてきた我々世代の意識では、それが常識となって人との協力関係を無意識に遠ざける癖があるように感じています。
会議でもそれぞれの立場の人が、それぞれの観点から言いたいことを言って、どうまとめるか苦労する現場をよく見かけますが、皆さんの職場ではいかがでしょうか?
目次
今日参加した会議では少し未来の風景を垣間見えた気がしました。それは、一言でいうと「観点を融合しようとする打合せ」でした。
異なる立場の人が共通のテーマに対して思っていることを話し合う中で、上の人が最終的に自分の意見を押し通すのではなく、目の前の人が何を言おうとしているのか?を丁寧に汲み取り、発言の裏にある真意をちゃんと受け止めて、その観点を議論に盛り込み、自分の考えを広げて全員の意見を集約させようとする姿勢が代表者にあったのです。
この打合せを通して実感したのは、質の高い合意形成やイノベーティブな会議をする為には次の要素が必要だということです。
1.自分の考えが何を出発にしているのかを自覚する(前提条件の共有)
2.目的達成の為にどのような基準をクリアしなければならないのかを明確にする(判断基準の見える化)
3.執着を手放すこと(観点のゼロ化)
前提条件がバラバラで皆がそれぞれに「きっとこうだろう」と思い込んだ状態で会議を進めると、何かがズレている気が増してきます。
そして、目標達成の為のクリアすべき課題の認識や、達成基準が異なっていたりすると、どこかで議論が迷走し始めます。最後に結論を導くときも誰か一人が自分の考えに執着し、その観点を絶対化して手放せないでいると、合意形成には至らずポジショントークの平行線が維持された結末を迎えます。
これら3要素の実現を阻んでいる障壁は、実は各個人の中にある自己認識です。ちなみに、自己認識とは「自分自身の存在、思考や感情、反応などについて認識し、理解する能力のこと」です。
「こんなことを言ったらどう思われるんだろう?」と感じて会議などの場で意見が言えないという人も多いですが、これも自己認識に帰結する問題です。
特に大勢の参加者がいる場で手を挙げて発言するとなると「何か正しいことを言わなければならない」という強制観念が働いて、素直に思った事を口にできなくなります。
結果、会社としては意外と大事な、でも本人には些細に見える事実を見逃すことにもつながります。
発言を否定されると人格まで否定されたような気持になる為、考えやイメージがズレていて、それを指摘されても修正することができない(執着を手放せない)というのも自己認識の問題です。
考えの出発が「自分個人」、判断基準も「自分の経験・知識」、それを手放せずに執着した人が集まって会議をして、本当にイノベーションは興せるのでしょうか。
「自分のことは自分でなんとかしなければ」「誰も自分の身は守ってくれない」「下手な発言をしたら自分の評価が下がるから口は慎んでおこう」など、自分の存在意義を守ることを優先しては質の高い議論はできません。
これまで新規事業を立ち上げる現場で、新しいアイデアや斬新な発想が生まれる瞬間を幾度も目にしてきましたが、そういう場面における共通項は、
1.自己否定癖の強い人ではなく、逆に自己肯定感の高い人が集まっている。
2.他人の視線を気にしないで思った事を口にする
3.相手の人格や存在を否定しないで肯定しながらさらにプラスにする観点を出し合う
でしたが、ここにも自己認識が関わっています。
また、自己認識は潜在意識と密接に繋がっていますので、質の高い合意形成やイノベーティブな会議を実現する為には、各個人の潜在意識に目を向ける必要があります。
潜在意識という内面深くに意識を向けることは、一見、遠回りに思えるかもしれませんが、各個人が潜在意識を観て自己認識が高まれば、イノベーティブな会議を阻む障壁をクリアすることになりますので、実は、遠周りに見える一番の近道です。
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