社長のあり方(器)が業績を決める

2021.05.20

社長の在り方

インタビュアー:本シリーズ(組織づくり)では経営者の課題に対する石山さんのご意見を伺っていきたいのですが、まず1つ目に「社長のあり方がどのようにメンバーと組織に影響を与えるのか」ということについて教えてください。

石山:自分でルールを作るのが経営者ですけど、会社のルールを作っておきながら自分は守らないという社長と、きちんと守る社長とでは、組織は全く変わってくるんですよ。

例えば、朝がすごく厳しい会社では、遅刻したら時給から何割か引くみたいなところもあるじゃないですか。でも、社長は余裕で遅れてくるとか。遅れてきても社長は自分の給料を引かないでしょう?いろいろな細かいルールを作るわりに、それを守らない社長って、それを見ている取締役はどう思うと思います?

インタビュアー:よくは思わないでしょうね。

石山:社長が守っていないから、俺たちも守らなくていいと思いますよね。そうすると、例えば、朝10時出社として、10時に来なくていいんだと、取締役も好きな時間に来はじめるんですよ。その取締役の行動を見ていて、その下の部長たちはどう思うと思います?

インタビュアー:きっと同じように思うでしょうね。

石山:上司がああだから自分もいいよね、となりますよね?

部長を見ている課長は?

課長を見ている社員は?

もう想像できてらっしゃると思いますが、このように上司の行動を見て真似し、ルールを守らなくなるんですよ。

それで、いくら社長が「何だ、お前ら。ルールも守らないで」と言っても、いや、それはあなたが守っていないからですよって(笑)

逆に、ある経営者が「こういうことをやったら3日間は自宅謹慎です」みたいなルールを作って、自分がたまたまそれをやってしまったので、本当に3日間休んだ社長がいたんです。

それを見た投資家が「この人は偉い。こういう会社は絶対伸びるから」と言って、出資が増額になったという話がありました。投資家はそういうところを見ているんです。

インタビュアー:そういう場合に、「従業員と取締役というのは立場が違うんだから、自分たちは時間に縛られる必要がなくて、成果を出せばいいんだ。だから、時間を守らない」と言う人もいるじゃないですか?そういう言い分に対して、石山さんはどうお考えですか?

石山:それは、取締役と従業員と離れてみるとそう思うかもしれないですけど、その従業員は上司の課長とか係長を見ているわけじゃないですか。課長は部長、部長は役員を見ているので、結局伝わりますよ。

インタビュアー:いくら言い分がそうでも、結局は伝わってしまうということですよね。では、自分で作ったルールを守れないと、組織に悪影響が出るし、守れば守るほど良い影響が出るということですね?

石山:そうですね。自分が作りたい世界があると思うので、その作りたい世界を自分で作っているのが経営者なので、その世界観とかルールを守らないと当然壊れますよね。

インタビュアー:なるほど。分かりました、ありがとうございます。

会社の成長=経営者の成長

インタビュアー:「会社の成長=経営者の成長」とは一体どういう意味なのですか?

石山:よく「経営者の器」って言うじゃないですか。経営者の器が大きくなると、会社の売り上げが上がると思いませんか?自分のステージが変わると、出会う人が変わりますよね。

例えば、「俺の言うことを聞け。俺の言うとおりにしろ」と言っていたのが、昔マネーの虎に出ていた南原さんなんですけど、「お前らは働いているんじゃなくて、俺から働かせてもらっているんだ!土日だろうが夜だろうが、仕事なんだからやってこい!」みたいにとにかくパワハラをやっていました。

あ、ちなみにこれは南原さんから直接聞いた話です。

当時、従業員を200名以上抱えていたのですが、南原さんが駄目になった途端、みんな離れていってしまって、彼がホームレスになったときも、誰も声をかけてくれなかったわけです。

そして、「あいつらは無能だ。俺の指示が有能なんだ」とずっと言っていたのですが、元従業員たちが他の会社で活躍しているのを見て、「何だ、みんな有能じゃん」と、そこで気がついたわけです。

考え方や捉え方が変わると、周りに集まる人が変わってきます。

ブラック企業のパワハラ上司の下に就いている人なんて、よほど自信がなくて、他に行く場所がない人なんだろうなと思いがちですけど、そういう場所にも優秀な人はたくさんいます。

ということは、優秀な人に来てもらおうと思ったら、自分自身が優秀な上司にならないといけないので、自分が成長しないといけない。優秀な人が来ないと会社が成長しませんから、結局、経営者の成長が会社の成長につながると思います。

インタビュアー:なるほど。経営者自身のお金稼ぎに付き合わせていたら、会社は大きくならないということですか?

石山:当然です。もし、あなたの上司が「俺が昇進するために営業成績を上げろ」と指示してきたら、やる気になりませんよね?

でも、「お客様の幸せのために一緒にがんばろう!」と言われたら、やる気出るじゃないですか。だから、同じ数字を頼むでも、同じ業務を指示するでも、言い方1つでやる気が変わります。経営者として、どういう伝え方をするか?というコミュニケーション能力の部分もとても重要なんです。

インタビュアー:例えば、町の中小企業のおじさんとソフトバンクの孫さんは、やっぱり人として大きな違いがあるということですかね?

石山:あると思います。実際、堀江(貴文)さんは当時60歳の方から「社会人経験で30年以上差があるんだから、少しは年上のことを敬え」と言われたときに、「いや、人生の濃度が違うでしょ!」と返していたんですよ(笑)

孫さんのように、あれだけ濃度の高い人生を送っていれば、普通の人が10年で経験することを1年で経験できてしまうわけで、言い方は悪いですけど、のらりくらりとサラリーマンかOLを続けてきたような30年間と、色々な修羅場をくぐり抜けて、色々な人間関係の問題にぶつかって乗り越えてきた3年間、多分同じぐらいの濃度になると思うんですよ。大事なのは年齢ではなくて、その人の成長の度合いなのかなと思います。

インタビュアー:中小企業の経営者が自分の会社を伸ばそうと思ったときに、1番いいアプローチは自分自身を見つめ直して、自分を成長させることなんですか?

石山:その通りです。実際に、ホッピーだったかな?今、若い女性が経営しているのですが、その人が継ぐ前と継いだ後で違いがよく表れているなと思いましたね。つまり、2代目で伸びる会社っていうのは、2代目の経営者が前の経営者と違うことをやったから伸びたんですよね。

インタビュアー:確かにそうですね。

石山:それは経営者が違うから伸びているわけじゃないですか。単純に自分たちが成長して、人として変われば会社が変わるっていう分かりやすい例かなと思いますね。

インタビュアー:すごく分かりやすいです!

経営者が成長する為に必要なこと

インタビュアー:会社を成長させるためには、経営者自身が成長しなければならないというお話でしたが、具体的にどうやって成長すればいいんですか?

石山:自分の魂が何を望んでいるか、それを見つけることですね。

インタビュアー:魂ですか?

石山:人間は考えて動く生き物なので、これ儲かりそうだなと思って事業に手を出したり、しがらみがあるために義務感から仕事をしたりということがよくあります。

しかし、そういった条件が全く関係ないときに、自分は何をしていると楽しいのか、心が喜ぶのかというのを観察して、見つけることが大事です。その対象は、研究開発でもプログラミングでも営業でもモノづくりでも何でもいいんです。

そういうのを見つけている人って、がむしゃらになれるんですよ。そうすると、一人前とかプロとか匠になっていくじゃないですか。

経営も一緒で、自分はこの人を助けたいという思いが明確な人だと、どんどん成長していってファンも集まるけど、うーん、何かよく分からないなという状態で走っていても、やっぱり求心力はあまりなくて、そんなに成長もない。

もし農家の支援をしたい!と感じていたら、まずその社長は農家に会いに行きます。そこで現場の苦労を知り、課題を見つけ、それを解決する為にアイデアを出し、試して成功したことがサービスになっていく。これがしたい、こういう人と出会いたいというのを見つけたときに機会やチャンスが生まれるので、結果、人として成長できるわけですよね。

インタビュアー:やっぱり経営者になればなるほど、自分と向き合う作業というのは必要なんですか?

石山:1番大事だと思いますよ。プロゴルファーやトップアスリートも身体のトレーニング以上に心のトレーニングをしていますよね。経営者も数字が伸びてきて売り上げが増えれば増えるほど、自分のあり方や自己認識を深めて、心のメンテナンスをしないと絶対崩れると思います。

インタビュアー:自分自身を見つめて内省化していく、自分が本当にやりたいことを自分に問いかけていくことで成長できるということですね。石山さんがお薦めする自分との向き合い方があれば教えてください。

石山:僕の場合、ほぼ毎日、日記をつけているんです。日記に「何が起きたか」を書くんじゃなくて、「何を感じたか」を書くんです。そして、1日1つ自分の気づきを色が違うボールペンで記入してます。

その日向き合った人や仕事に対して、自分の心は何を感じていたのか?あのときは、あぁ言ったけど、本当はどう思っていたのか?振返ってみて何か気づくことや感じることがあれば、それを掘り下げて感じて、記録しています。

そういうことを観察していくと自分がどうしたいのかが見えてくるんですよ。

インタビュアー:日々気づいたことを紙に書き出すのですね?

石山:そうです。伸びていく経営者って皆、「今のテーマは?」と聞くと大体ポンと答えが返ってくるんですよ。今月とか今年の自分の課題はこれだとか。今、これに取り組んでいるとか。

普段から内省していないと今の課題とか、自分のテーマを聞かれてもすぐには出てこないですよね。だから、内省する習慣をつけるのはこれからもマストかなと思いますね。

インタビュアー:経営者が自分自身を成長させるためには、内省化が必要であるということですね?

石山:そうです。ハーバードビジネスレビューが出している「セルフアウェアネス」という本があるんですよ。セルフアウェアネスは「自己認識」という意味なのですが、これは2020年代のリーダーシップの必須科目だと書かれているんです。それぐらい自分を見直すことが、今の時代のリーダーに求められているのだと感じます。

石山 喜章 ワンネス株式会社 代表取締役

1977年、鳥取県生まれ。埼玉大学&デジハリ卒業後、株式会社IMJ(営業・プロデューサー職)を経て2003年、エッジ株式会社でメディア事業「ライブドア」をゼロから立ち上げ、同社の成長を牽引。ライブドア事件後は求道者として覚者の下で修業を積みながら2社の設立に携わった後、2012年にワンネス(旧社名CCO)を創業。出版した「潜在意識の使い方」は1万部を突破し、トヨタ、三菱電機、ITベンチャーなど先進的企業72社が幹部育成を依頼。ひとり1人の『魂の成長』を支援している。

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